自分が彼のブログを読み始めたのは、数年前になります。
正直にいうと、自分は陸上にあまり興味はありません。 それでも、彼の書く文章は、たとえその陸上の話だとしても、読み入ってしまいます。 また、彼の文章は非常に多岐に渡り、彼の世間に対する考察や、経済の話まで広がります。 彼の陸上だけに固執せずに経済や投資に視野を向け、行動に移す姿勢にも、惹かれます。 自分にないものだからでしょう。 やはり自分の専門上、彼のブログで一番興味を引かれるのは、トレーニングの話。 彼の文章に記されている体の感覚の話は、彼の感覚のままに書かれているのですが、言っているイメージが(もしかしたら全然違うのかもしれないけれど)なんとなく分かるのです。「でんでん太鼓の支持棒が折れかかっているような感覚」とか、「力みあっての解放」などなど。自分もトレーニングをする時には、どれだけの重さを上げるか、という事よりも、そのトレーニング後の体の感覚とバスケットへの影響に意識を置いています。 先のオリンピックで思うような結果、期待されていたような結果を残せず、その後旅に出た為末選手。 自分も、世間と同じように、彼の引退を予感していました。 正直、選手としては年齢の事もあり、陸上に関しては素人ですが、引き際なのかな、とも思いましたし。 が、今朝の彼のブログを読んで、彼の事がより好きになりました。 「この人、かっこいい」と思いました。 自分の解釈は入れたくないので、引用します。 (為末大オフィシャルサイト「侍ハードラー」より) 選手としてではなくコーチとして言わせてもらうなら、ここが引き際です。 オリンピックが終わってから、いろんな所に行きました。万里の長城を登っていく時に、肩の位置が前に行き過ぎているような気がしました。もっと真横で上下に振ったらどうなんだろうと、腕を振りながら万里の長城を登っていきました。 マチュピチュまでの道のりで、階段を上がる時に膝が後ろに残っているような気がしました。前に少し動かしてみると、上がりやすいうえに、内転筋に力が入りやすいような気がします。次の日、高山病と内転筋の筋肉痛に見舞われました。 離れられないのです。何をしていても頭がそれでいっぱいになってしまいます。すがすがしいなんてとんでもない。できる事なら、もう一度今年の3月に戻ってやり直したいと思っています。それにそこからならメダルが取れたはずだと自分で信じきっています。もっと力が出るのではないか。痛いってことは足が付いている証拠じゃないか。世界のいろんなところを回っていながら、ずっとウサイン・ボルトがなぜ速いのかを考えていました。 分かります。 自分と彼とでは、その競技レベルだって違うし、積み上げてきたものだって全然比べ物になりません。 でも、分かります。 どこに居たって、何をしていたって、バスケットのことが頭から離れる事はありません。 もし、もう一度バスケットを始めたころに戻れれば、今以上のプレイヤーになれる自信だってあります。 あれだけ苦しんだり、悩んだりしても、それでもあの頃に戻りたい。 無理だ、と分かっていても諦めはつかないんです。 だから、四捨五入すれば30になる年になったって、プロのプレイヤーじゃなくたって、ずっと上を見続けるんだと思います。 私はカール・ルイスにはなれませんでした。才能の大方の部分は出し尽くしました。スポーツで日本中の、世界中のスターになりたいと思い続けてきましたが、もうそんなポテンシャルは残っていません。 足は痛むし、練習もそんなにできない。若い選手にも追い抜かれていく事でしょう。せっかくもらったネームバリューというものも無くしていってしまうでしょう。 でももうそんな事どうでもいいんです。もともと後からもらったものですから、それは返せばいい。そんな事より、早く冬の練習に入って、腕の位置を横に直して、膝を前にしたい。痛みをコントロールするやり方を試したい。何より今すぐ走りたい。もしかしたら、前より速くなれるかもしれないのだから。 ”勝つ為末”が好きだった方には申し訳ないですが、これからは度々負けるかもしれません。いえ、全然勝てなくなるかもしれません。それどころかすぐ壊れてしまって試合に出られない事も多くなるでしょう。それでも応援してくださる方、これからもよろしくお願いします。勝てなくてもいけるところまでいってみせます。 自分の引き際は、いつだろう、と考えます。 きっと、コートの上で自分を自分の思うように表現できなくなった時でしょうか。 そんな自分を自分で感じたくないし晒したくない。という気持ちはあります。 口先だけでなく、それこそ真剣にスポーツに取り組んだ人なら、この考え方は分かると思います。 ましては、プロ選手となれば、周りからの視線や評価なども付いてまわる。 それでも、それを受け止めて、競技を続ける事を決意した為末選手。 彼の今回のエントリーは、次の言葉で締めくくられています。 未だアキレス腱も膝も腰も痛みますが、痛みと共に生きるというのも一興だと覚悟を決めました。現役を続行します。次に引退を思う時は足が完全に壊れた時です 彼には、もちろん考え抜いての決断でしょうし、きっと彼は否定するだろうけれど、「達観」という言葉が似合います。 彼のブログの全文を読みたいかたは、こちらへどうぞ。おすすめです。 「現役」
by u2k_maru
| 2008-10-02 03:21
| 思う事
|
カテゴリ
以前の記事
2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 11月 2008年 10月 2008年 09月 2008年 08月 2008年 07月 2008年 06月 2003年 09月 フォロー中のブログ
Links
Enhancing QOL
高校バスケ部の尊敬する先輩。その行動力とバイタリティには頭が上がりません。MITでアクティブな義足の研究をされています。 #107 高校バスケ時代、最も大きな壁となって立ちはだかったライバル。設計士の卵であり、旅人です。 FREE☆STYLE 自分がバスケを続ける限り、目標とする先輩。スリー、ドライブ、ポストアップと何でもアリ。指導者としても経験を積まれています。 MY LIFE 高校バスケ部の先輩。独特の口調から語られる世界観は味があります。 DRIVING! 早稲田、Arkansasでの後輩であり、元ルームメイトでもあるタカオ。よい意味でのCrazyさ賢さを併せ持つ、勉強熱心な野球少年。 歩 Arkansasでの先輩であり、ルームメイトとしてもお世話になりました森部さんのブログ。料理から洗濯まで、一流の主夫になれます。とても頭のキレる方です。 Slow Life Salem State CollegeでフルタイムATとして活躍中の直子さん。姉御肌の頼れる先輩です。 No Dream, No Life!! 日体協ATであり、理学療法士。そして今は鍼灸を学んでらっしゃる海さん。自分の学んでいる事の奥の深さと可能性を教えてくださいました。 2 be a badass Ohio Stateのまさ君のブログ。とてもいい笑顔から好青年さが滲みでてました。野球大好きっ子のようです。 W3 その大胆な発想と行動力。”男に二言は無い”を地で行く侍、の萩さんのブログ。 BE-151A- Illinoi StateでATを学んでいるスポーツ大好き素子氏のブログ。その大人しそうな外見からは想像もつかない行動力、そして鋭いつっこみの持ち主。 一般人 ハートの強さと、そのストイックさが、どこまで彼を導くのか。日本の大学で知り合い、アメリカで再会したバスケットボールプレイヤー、栗原祐太。 Dice's BLOG Knicksをはじめ、多くのNBAチーム、カレッジが顧客のゲームデータ管理をする会社でインターン中のダイスケ君のブログ。またの名をCoach D。 Boogie Life NYでストリートボール武者修行中。ストリートボーラー達にとって、最先端をいく開拓者なのでは。飄々とした雰囲気や文章に隠れた、新しい物を創り出す夢と野望。 馬鹿バスケ バスケの奥の深さを客観的に数字で表す統計でバスケを読み解きます。ABAでのコーチ経験もあり。 iiwave 留学をする以前からも、後もお世話になりました。 自信を持ってお勧めできる留学サポートです。 吟 自分の元ブログ。 Arkansasでの二年間を綴りました。 軌跡 これまた自分の元ブログ。 語学学校とWinona State Universityでの留学最初の一年間です。 追求夢想 New York Knicksでのインターンを得るまでの過程を記録したブログです。 検索
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||