「ほっ」と。キャンペーン

さらばNY

空港近くの友達の家からの更新です。
日本行きのフライトは、明日の午後。

今日は、まだNYに残っている数人の選手達のトリートメント。
自分にとって、Knicksでの最後の仕事。
自分がトリートメントをしていた、ある選手に、Anthonyが"Today is Yusuke's last day, his last treatment on you"
と言うと、彼は"NO"と顔を上げずに言ったあと、"I know it"と呟きました。
とても自然に寂しそうにしてくれたので、"I'll miss you"とかって面と向かって言ってもらえるよりも心に響きました。

選手との写真は、RogerとAnthonyは"遠慮しなくていいんだぞ"と言ってくれましたが、一番仲が良かった選手とだけ、二人で同じポーズをとって撮りました。
多くの選手と写真を撮れば、それはいい記念になったのだろうし、選手達も喜んで一緒に取ってくれるのは分かっています。でも、自分にとって、この場所は記念や思い出ではないからでしょうか、それとも、自分は働きに来ている、という意識からでしょうか、よく分かりませんが、撮る気にならなかったです。

コーチをはじめ、ほかのスタッフにも別れの挨拶。
皆、戻って来いって言ってくれます。待ってるぞ、と。
ほんとうに、素敵な関係が築けたと思います。別れ難すぎです。
NBAで働く事は自分の最終目標ではありませんが、目指すに値する場所だと言う事は身を持って感じたし、戻って来たいと心から思う環境です。

ほぼ毎日1オン1を繰り返したMikeは寂しそうでした。
彼との最後の1オン1は、Best of 7で延長戦3つを含む激戦の上、自分が4-3で勝利。
プレイスタイルは違うものの、勝ち負けが偏らない、good competition。
彼のお蔭で、仕事以外での毎日の楽しみがあったのは幸せなことでした。
お別れに、沢山の音楽をCDに焼いてくれました。

トリートメントの後は、WNBAのチームのワークアウトをお手伝い。
3オン3の相手をしました。
このチームのヘッドトレーナーにも良くしてもらえたし、以前ブログに書いた(プレイ中は)鬼怖いGM(WNBAのHall of Fame)にも挨拶ができたので良かったです。

自分のお手伝いが終わるまで、RogerとAnthonyが待っていてくれて、夕食に連れて行ってくれました。
天気が良かったので、外の席で1時間半くらい、のんびりと。
この8ヶ月間の事をはじめ、選手のこと、ATのこと。
彼らと話をするのは、とても心地がいいです。

Rogerは、自分にとって、アメリカの父親的存在。
自分の成長を楽しんでくれているのが伝わってきます。
MSUのインタビューの前夜にもテキストメッセージを送ってくれたり、先ほども。
ほんとうに、気にかけてもらいました。
また、以前に書いた事もありますが、10年以上のNBAでのキャリアにも関わらず、とても謙虚です。
例えば、自分がDaveに教わったテクニックをつかってトリートメントをしていると、選手の前だろうと聞いてきます。
もしかしたら、自分の選手からの信頼感を増す為に聞いてくれてるのかな、なんて思ったりもします。
そうだとしても不思議ではないくらい、思慮深い人。
ATとしてだけでなく、こういう大人になりたい。そう思えるボスでした。

Anthonyは、兄的存在でした。
"言われなくても、やれる事を探してする"というのは基本ですが、やはり頼まれるというのは嬉しいもの。
周りからは、"Don't have Yusuke do your job"と言われながらも、冗談で交わしながら、色々な仕事を任せてくれました。
それは、自分が楽をしたいからじゃなくて、俺のことを考えてくれてるのが、途中からハッキリと伝わってきました。
人を笑わせるのが大好きで、しょっちゅう冗談を言います。
仕事後は一緒にワークアウトしたり、遠征に連れて行って時にはディナーに連れて行ってもらったりと、仕事以外でも多くの時間を過ごしました。
一緒にバスケをすると、そのトラッシュトークが面白すぎて、自分にとっては一番タフなディフェンスでした。
長丁場のシーズンを乗り切る上で、彼の存在は周りが気づいている以上に大きなものでした。

もちろん、彼らだって完璧ではありません。Nobody is perfectです。
自分なんて、穴だらけです。
でも、この2人+自分は、それぞれがそれぞれを補える、いいチームでした。
インターンの自分が言うのはなんですが。

b0143079_15161892.jpg


彼らに誇りに思ってもらえるようなプロフェッショナルになること。
新しいモチベーションが、また増えました。

さらば、NY。
[PR]
# by u2k_maru | 2009-04-30 15:18 | Knicks

men of like-minded in NY

それぞれが目指すものは違っても、同じ温度を感じる事ができる。
そうそう経験できるものではないと思う。

NYを離れるにあたって、どうしても会っておきたかった人たちに会って来ました。

b0143079_13325610.jpg

左から、
飯野さん。
元早稲田大学バスケ部のプレイヤー、今は緻密な統計でバスケを読み解きます。
自分もスタッツ大好きですが、ここまで奥が深いものだとは知りませんでした。
雑誌Hoopにも寄稿されています。
ABAのチームのコーチ経験もあり。
(→馬鹿バスケ)

栗原祐太。
日本の大学時代に知り合い、自分と同時期にプロバスケットボールプレイヤーになる意志を胸に渡米、LAを経てNYに。プロになるという夢を叶えた後も、Next levelを目指し続ける男。
お互いの渡米4年目にして、自分がATとしてカバーしたNBDLのトライアウトで再会。
その時の日記はこちら→
彼の身体をチェックしたときに、彼のブログのタイトルの意味が分かった気がします。
身体能力にアドバンテージはありません。
が、それをカバーして余りあるハートの強さとストイックさ。
その結晶は、NBAの登竜門であるNBDLのトライアウト@Atlantaでチーム関係者達の関心を集めるまでに至る。
(→一般人)

自分を飛ばして、
(この青シャツ、ルームメイトが使った漂白剤が残っていたらしく、翌日の洗濯で逝きました。)

Bang-Leeこと、バンリ君。
ストリートボールの武者修行中。ストリートボールのゲームだけでなく、その根底に流れるモノ、その変化すらも敏感に感受しているのが伝わってきます。
彼がその身で吸収したものを発信し伝える動きにも注目しています。
飄々としていますが、その野望にブレは無し。
(→Boogie Life)

ダイスケ君。
NBA、カレッジのチームがデータ分析の為に使う試合のデータを管理する会社でインターン中。
自身も、アメリカのカレッジで4年間プレー。
彼のブログを読めば、またの名であるCoach Dの意味がわかります。
一緒にカレッジバスケを観戦した時に解説をしてもらい、バスケを知る人の目と、自分との違いを思い知りました。
(→Dice's BLOG)


栗原の繋がりで知り合う事ができた人たち。
自分も彼らも、それぞれの道を歩んでいるので、8ヶ月のNY滞在中に2、3回しか会うことはできませんでした。
自分という人間が、2,3回しか会った事の無い人達と夜通しで話をしていたいと心から思い、ここまで別れ難いと思うのは、記憶にありません。
統計、プロボーラー、ストリート、コーチング、アスレティックトレーナーと、それぞれの専門は違いますが、バスケットボールという共通項があり、そしてその思いの温度は限りなく近い。
測れるものではないけれど、感じるもの。
専門の違いが、同じ温度という条件の下に、弾きあうのではなく反応し合う、とでも表現すればいいのでしょうか。
彼らと同じ空間にいると、何か"面白い"ものが生まれる気がして、勝手にワクワクしてきます。

彼らとの再会は、自分がバスケットを続ける事と同じ確率くらいに確実です。
その時に、それぞれのレベルが上がっていたらと思うと、楽しみです。

インターンが決まる前にKnicks以外のチームとも連絡をとっている時に、父親にNY行きを薦められました(決まったとしたら、という前提で)。
NYには野望、野心に溢れた人が星の数ほど潜んでいて、その刺激は自分にとって大きなプラスとなる、と。
今、その言葉の意味がわかります。
土台作りの最終段階となるミシガンでの4年間を前に、彼らと出会えたことに感謝です。
[PR]
# by u2k_maru | 2009-04-28 13:32 | Basketball

一時帰国します

前回の帰国から、2年。
久しぶりに日本に戻ります。

4月30日のフライトで、5月1日に成田到着。
とりあえずは、実家に直行して親に顔をみせようと思います。

シーズンが終わったら、ある程度時間が出来て、NYにいながらも会えなかったり、お世話になった人に挨拶にいけるかなと思っていましたが、甘かったです。
corrective exerciseを中心にした、選手達のオフシーズンのトレーニングマニュアルの作成や(自分はこの分野に強い関心があるので、かなり面白いです)、来シーズンに向けてのテーピングやブレースをはじめとする備品のチェックなどで、けっこう忙しいです。
それに加え、車の登録手続きや引越しの手順を考えたりとで、時間は全然ありませんでした。

気が付けば、あと1週間。
今までは自分の部屋を残して帰国しましたが、今回は帰国と同時に部屋を出て行くので(地下室とさらば!万歳)、片付けもしなければなりません。が、ちっとも進みません。
あと一週間で、今の環境から離れると言う事に実感が沸かないからだと思います。
自分の部屋と職場の行き来が9割の8ヶ月間でしたが、あまりに楽しすぎました。

考えてみれば、この2年間はバスケ漬けでした。
University of Arkansasのチームでの実習から、2ヶ月の陸上と野球での実習を挟んで、シカゴのATTACKを経てKnicksへ。
自分もほぼ毎日ダムダムしてました。

この贅沢すぎた2年間に相応しいピリオドを打てるように、落ち度の無いように片付けるべき事をこなそうと思います。(自分の事ですから、どーせ何かは起こります。が、それが致命的なもので無いように。)
[PR]
# by u2k_maru | 2009-04-24 13:12 | その他

Jordan Brand Classic 2009

b0143079_1134718.jpg


MSGで行われた、Jordan Brand Classicという大会のお手伝いをしてきました。
選ばれた全米の高校生によるshow case(お披露目?)的な大会です。

Lebron James、 Chris Paul、 Carmelo Anthony、 Kevin Durant(彼は観に来てました)、 Amare Stoudmemireらも、高校生の時にこの大会に参加しています。

大会は全3試合あって、
一試合目はヨーロッパを中心とした国から選ばれたInternational vs International
二試合目はNew York City代表vs近隣の州からのSuburban代表
そして三試合目は、メインイベントとなる全米から選ばれたAll-Americanゲーム

という流れでした。
All-Americanのゲームに参加した殆どのプレイヤー達は、すでにDuke, UNC, Florida, Memphis, Oklahomaといった名門校への進学が決まっています。
どんなに派手なダンクや巧いプレーを見せられても以前のように驚く事はなくなりましたが(ちょっと寂しい気もします)、彼らが高校生という事を考えると、やっぱアメリカの個人レベルの高さには唸らされます。

アップの時に、1人気になった選手がいました。
6-11(210cm?)の300lb(135kg)という凄まじい体格ですが、ボールハンドリングとシュートタッチが体格に似合わずに良かったので注目することに。
前半は、その体格に似合わない幾つかのナイスパスを披露して、そのversatility(万能さ?)を見せつけましたが、2得点と大人しめ。
が、勝負に熱が入ってきた後半は、NBAレンジのスリーを含むアウトサイドからインサイドと得点を量産し、結局はMVPに選ばれました。
なんとなく、シーズン序盤までKnicksでプレーしたZach Randolphを連想させるプレイヤーでした。
カレッジはどこに進学するか覚えてませんが、間違いなく即戦力でしょう。

高校生のオールスターゲームなので、やはりバスケットとしては大味だったのは否めません。
自分が一番楽しめたのは、一試合目のInternational試合。
運動能力や体格ではアメリカの高校生たちとは比べ物になりませんが、ハーフコートバスケットの質はとても良かったです。FG%がとても高かった。
どこかのヨーロッパの国のPGがとても良く、Pick&Rollや外角シュートの精度の高さもさることながら、時折見せるノールックパスで会場を魅了。開始5分で観客を味方につけました。
彼は両チームで最も小柄でしたが、得点でも両チームでトップ。
文句なしのMVP受賞です。
どんなプレイヤーに成長するのでしょう。

1人だけアジア人がいて、一瞬日本人かなーと期待しましたが、彼は中国からのプレイヤー(SG)でした。
ゲーム中はシュートが中々決まりませんでしたが、結果でなく内容から判断すれば、彼のレベルの高さは十分に伝わりました。ボールに対するディフェンスは、一番良かったように思えます。

それぞれのゲームに対してATが雇われていたので、自分の仕事は殆どなく、幸い怪我も一切起こらなかったので、8割は観客として楽しませてもらいました。

おそらく、今の契約中にMSGで働くのは、これが最後。
まさかまたMSGで働ける(とはいえ半分以上は観戦)とは思っていなかったので、嬉しい予想外でした。
[PR]
# by u2k_maru | 2009-04-20 11:36 | Basketball

シーズン終了

昨日のホームでのNets戦で、New York Knicksの2008-2009シーズンが幕を下ろしました。
プレイオフを逃したチーム同士だった事もあり、相手はエース抜きでしたが、最終戦は勝利で飾りました。

勝ち負けに以前ほどの意味がない試合ということもあって、とある選手は、"ボールが回ってきたら全部シュート打ってやる"なんて試合前は言っていました。
が、このオフにも大きな動きがあるであろうKnicksにおいては、どんな試合だろうと選手にとってはアピールの場。
チームとしてのゲーム運びは控えめで、個人個人の味が出ていたと思います。

試合後に、最終戦に使ったボールを、チームがプレゼントしてくれました。
嬉しい心遣いです。


あっというまの82試合。
シーズン前のキャンプから8ヶ月が経ったなんて、信じられません。
いつもはゲーム後のトリートメントが終わると岐路に繋がるエレベーターに向かいますが、昨日はMSGのコートに戻りました。
数人の清掃スタッフだけが残された閑散としたコートを前に、しばし思い出に耽りました。

新しいコーチングスタッフだったことや、2年後を見据えた主力のトレードなどがあり、プレイオフは逃してしまいました。
勝つことの難しさを思い知らされましたが、リーグ最下位のチームに惨敗したと思えば、リーグトップのチームをアウェイで破ったりする、ノリというか勢いというか、こういうアップダウンにも愛着が沸きました。
安定感のなさはチームとしては良くないんだろうけれど、そういうところがまた魅力だったりします。
来期以降は、これに勝ち星が続く事を願います。
(開幕のメンバーでシーズンを戦い通したら、プレイオフは行けてた気がしますが、新ニックスが目指すのは一シーズンのプレイオフ進出ではありませんので仕方ありません)

翌日の今日。
Exit Physicalと呼ばれる、チームを去る前の選手一人一人の身体チェックをteam physicianを中心に行います。今シーズンの個人個人の怪我のレポートを中心にチェックが行われましたが、レポートに残されたそれぞれの怪我達すら懐かしかったです。
このチェックしたデータ+シーズンを通してのパフォーマンスを考慮し、オフシーズンのプランをそれぞれの選手に提供します。
AT, PT, S&C, Physicianの4方向からのミーティングはとても興味深かったです。

その後はExit Interviewと呼ばれる、選手個人とコーチ、GMとのインタビューを経て、全て終了。
NYに残り、しばらくは練習施設に顔を出す選手もいれば、そのまま故郷に帰る選手もいます。
数人の選手とは、今日でお別れしました。
毎日、挨拶をする時に握手してきた彼らの大きな手。
慣れていたと思いましたが、今日改めてその大きさに気づきました。

シーズンは今日で終わりましたが、自分の契約は今月の終わりまで。
来シーズンに向けた準備や、数人の選手のトリートメントを手伝います。
大好きなチームへの感謝と、Knicksの輝かしい歴史の到来を信じて。
[PR]
# by u2k_maru | 2009-04-17 13:30 | Knicks