プロフェッショナル

自分には、アメリカ一年目を過ごしたWinonaで出会った、特別な友人がいます。
彼の専門は、Strength & Conditioning。
自分のAthletic Trainingと、とても近い専門。
彼とは、特別よく遊んだりしたわけでもないけれど(というか、アメリカ一年目は遊ぶ余裕が無かった)、ウエイトをしにジムに行けば、ほぼ100%の確率で会ったし、体育館でも一緒にバスケをしました(遊ぶ余裕はなかったけれど、トレーニングとバスケの時間は作ってました)。
咋夏のコロラドでのシンポジウムにも、一緒に参加をしています。

自分にとって、S&Cにおいては彼の右に出る者はいません。
もちろん、今は大学院でGAをしていて、発展中の彼ですから、現時点の彼の力量を上回る人達はいるでしょう。
でも、彼のS&Cに対する、他とは一線を画した姿勢を知っているので、将来性を含めて考えると、彼が一番なのです。

とても謙虚な人なので、周りに積極的に情報を発信するタイプではないけれど、彼が年明けに書いた”Professional in S&C”という題の日記を読んで、これは多くの人にいい刺激をあたえるだろうな、と思って、了解を得て引用します。
ちなみに、関西人です。


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ほんで、今回タイトルやねんけども。

去年、色々学んで、それを振り返ってみて、ふと思ったのよ。

S&Cのプロフェッショナルってなんやろ?って

正確にいうと、S&Cのプロとアマまたは他の分野のプロ(たとえば、PT)を分けるものってなんやろってこと。

それは、もちろんトレーニングやねんけど、もっと正確にいうと科学的根拠または科学的根拠から推量される理論に基づいた知識を持ち、それをトレーニングという現場でコーチングという形を取って実践するということじゃないかなと思うねん。

そんなんわかってるわって言われそうやけど、ほんまはどれぐらいの人がちゃんとわかってるんやろ?

セミナーでトレーニングのプレゼンをみたり、トレーニングについて書かれた本を読んで、それをそのまま実行するのはアマチュアの人でも、PTの人でも筋トレとスポーツの経験があれば結構出来てしまう。

そして、これは明らかに間違ってるはず。

S&Cのプロとして、本を読んだりプレゼンを聞いたりするときは、その情報に科学的根拠があるのかどうか、または科学的根拠に基づいた理論で説明が出来るのかどうかという部分を考えなあかん。

この観点から、参考資料(英語でいうreferences)がない本は、どんなに有名な人が書いてても、どんなに良いものであっても、良い本とは決して言えへん。

セミナーなんかのプレゼンもおんなじこと。

さらに言うと、参考資料は、研究論文でなければ、これまた良い本とは決して言えへん。

参考資料のついてない本やインターネットで書いてあったことは参考資料にはならへん。

もし、参考資料にしようとしている本が、研究論文を参考資料にしているのならば、その研究論文を参考資料にしなければいけない。

個人の思いつきで物事を行うのは、アマチュア。

プロは、根拠のある知識に基づいて、物事を行う。

もちろん、すべてのことが研究で明らかになってるわけではないから、現在わかっていることに基づいて、理論的に推測をしなければならないことも多々。

経験も、もちろん大切のもののひとつ。

しかし、プロとして決して忘れてはならない根底にあるものは、科学的根拠。

経験は、それに基づいて解釈され、未来の行動に生かされていくもの。

「良いS&Cコーチ」と言うものは、科学的根拠によって物事を判断し、なおかつ豊富な経験によって、様々な状況に対応でき、トレーニングにおけるアスリートのポテンシャルを引き出せるコーチング能力のある人をいうんではないんかな。

ライセンスが無いために、誰もがS&Cコーチと名乗れるこの業界。

真のS&Cコーチを目指すならば、研究論文は必読。

そのためには、運動生理学、バイオメカニックス、解剖学、英語などなどの基本的な理解も必要不可欠。

簡単な事ではないけども、でもプロは普通の人には難しいことが出来るからプロといわれるという解釈も無きにしも非ず。

世の中に100%は絶対無いし、こんなこと書いてる自分も以上の過ちを何回も犯してきたし、これからも多かれ少なかれ、以上の過ちは犯すはず。

でも、常により良くを心がけ続けることは、プロである上での最低必要条件やと思う。

ほんまにもう一度、ようく考える必要があるんちゃうかな?

足からから足へ移動するという「特異性」の観点から、ウォーキングランジが走ることに関しては、1番のエクササイズやと思ってへん?

肩の怪我の予防やリハビリのために、rotator cuffのエクササイズばっかりやってへん?

体幹のトレーニングとして、自体重のエクササイズや腹筋やクランチとかやってへん?

不安定な表面でバランスを取って行うエクササイズは、すべてのアスリートの怪我に予防なると思ってやってへん?

野球の球を速く投げたいから、ゴルフでドライバーの飛距離を伸ばしたいからと言って、上半身のトレーニングを中心にしてへん?

卓球、スキー、バドミントン、などなど力を使うスポーツじゃないから、重い筋トレをする必要がないと思ってへん?

陸上長距離の選手やからって、軽い重さで、回数をやって筋持久力をつけるほうがいいと思ってへん?

自分が今までしてきた説明を裏付ける科学的データを自分はどれだけ知ってる?

2008年のうちで一体何個の研究論文を読んだ(要約とかではなく)?

アマチュアの人は、こんな質問にたいして、自分の思ったことを理論的に答える。

プロは、科学的根拠に基づいて理論的に答える。

2009年、そしてこれから以後ずっと、こういうことを肝に銘じてより良いプロになりたいとおもう。

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自分も、彼と同じCSCSという資格を持っていますが、自分の一番の専門ではないとはいえ、自分がおなじ資格を持っていると言う事を恥ずかしく思うくらいです。
こういう風に感じるのは、今のところ、彼に対してだけです。

資格をもっているだけで、自分は~ができると勘違いしてはいけません。
おなじ資格をもっていたとしても、そのレベルには天と地の差があります。

さて、彼の文章は、われわれATにとっても重要なことを言っています。

人の体が自然治癒力を持っている以上、そうとう大きな間違いを犯さない限り、いや、範囲内の間違いを犯したとしても、人の体は治っていきます。
素人が患部にアイスを乗っけたとしても、ある程度の炎症は抑えられてしまうわけです。

ここで、どれだけProfessionalになれるか。
どれだけ、現時点のことに疑問をもって、研究論文、つまり科学的根拠に基づいた、よりよい方法を探究しつづけるか。

全ての行為がEvidence basedになる事は難しく、時には経験と、自分の理論をもちいる必要はあります。
ですが、それは、Evidence basedを放棄する、という意味であってはいけないと思う。

よく思うことですが、自分が人にトリートメントの説明をする時に、”アメリカでは” ”NBAでは”などという言葉を使ったら、自分はお終いです。
あくまで自分の意見ですが、100年の経験より、一本の信頼できる研究論文。


今月末は、Knicksのメディカルスタッフを相手に、Pelvic girdleにおけるMuscle Imbalanceについてのプレゼンをする事になりました。
自分の興味のあった分野で、細々と独学を続けてきたので、まとめる意味でも良い機会。
ちょっと張り切ってみます。
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by u2k_maru | 2009-01-18 13:26 | 思う事
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